気分の波がある|みずはらクリニック|近鉄大久保駅前の児童精神科・精神科・心療内科

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気分の波がある

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感情や気分の波があるのは病気でしょうか

感情や気分の波があるのは病気でしょうか

 こどもの気分の波が激しいと、親はとても心配になります。感情や気分の波が激しくて、何か精神的な病気があるのではないかと考えて調べてみると、おそらくうつ病や躁うつ病といった、精神的な病気が出てくるのではないでしょうか。しかし実際には、こどもにこういった診断をつけることはそれほど多くありません。

 大人と比べてこどもは、基本的に感情や気分が不安定で波があるものです。大人のように環境に対する適応能力が高いわけではないので、困ったことや心配なこと、嫌なことや辛いことがあると、すぐに感情が変化してしまい、コントロールすることが難しいです。まずは本人の話をよく聞いてあげて、どうしてそういう気持ちになったのか一緒に考えてあげて、そういう風に考えるのなら落ち込んだり悲しくなったりするのも当然だねと共感してあげることが大切です。そしてまずは、どうしたらそういう気持ちにならないように生活できるか、具体的な方法を一緒に考えてあげるようにしましょう。

 しかし中には、学校や家庭での生活をうまく送ることができないほどに感情や気分がコントロールできないこどももいます。こういう場合は、うつ病や躁うつ病といった感情や気分が不安定になる病気というよりも、典型的な発達のこどもに比べて、環境に適応するのが苦手な特性があるこどもであることも多いです。

 例えば、自閉スペクトラム症のこどもは、こだわりが強くて変化が苦手で、いつも同じでないと不安になったりイライラしやすかったりします。人間はいつも少し先に起こることを、ある程度の幅をもって予想しながら生きているので、少し予想外のことが起こっても、そこまで驚かずに対応することができます。しかし自閉スペクトラム症のこどもは、予想できている範囲の幅が狭いと言われているので、ちょっとでも変わったことがあるとすごく驚いて、不快に感じてしまいます。そのせいでとてもイライラしやすかったり不安になりやすかったりします。ADHDのこどもは、衝動的で感情を抑えるのが苦手なのですごく気分が高揚しているように見えたり、とても怒りっぽく見えたりします。不安が強いこどもの場合は、いろいろと心配になってしまうことが多いので、気分も落ちこみやすかったり、元気がないようにみえたりします。

 どのような場合でも、まずは本人が安心できる環境を整えてあげることがもちろん重要ですが、あまりにも気分が不安定で学校や家庭生活が送れず、こどもとして経験するべきことが、うまく経験できない状況になってしまうようであれば、一時的に気分を安定させるお薬を使うことも考えます。しかし多くの場合は、無理をさせずに本人にあった環境で過ごせるようにしてあげることで、徐々に感情のコントロールが上手くなっていき、落ち着いて過ごせるようになってきます。